感想その5

6、7月に行われた関連・朗読イベント「傾聴の会」にもご出演くださった桑原延享さんより、ご感想いただきました獵
桑原さん、通称Nobuさんは、DEEPCOUNTというバンドを率いるミュージシャンであり詩人であり、舞踏や俳優も内包するアーティストです烈
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映画『デルタ』
三部作はどれも 遠くを眺めるようにして始る。気がつけば今この瞬間この季節と重なる。
鏡だ。夏の鏡は三面鏡~万華鏡へと展開される。
自分ではない筈の他者の数え切れないほど通り過ぎた夏を受信する。と自分の思い出と乱れ交差し、幻の夏休み未だ見ぬ廃屋に置き去りにされた暗箱を開けて眺めているような。そんな気持ちにさせられる。
色深き『誘惑』は二人の戦中亡国兵の背中と戦後の性狂おしい肉食らう赤い唇が重なり ドキッとするほど咲き誇り 色深い心に蠢く
散歩するように『他界』した老人を探して歩く中年男は嫉妬と恋心を羅針盤に彷徨う それに付き合う他所の散歩男が老人の代わりの様に、または神の様に当たり前に其処にいる
『ハシッシ・ギャング』の墓場に出現する日本製金髪不良妖怪の吐き出すバイブスはリアルにケムリにまかれる効能がある。そして原作、映画作の心臓である「判らないでしょうから、伝えてあげてください」の意味をつまり作品の血液をこの愛の不良妖怪が預っているのをオレは知っている。
小川国夫の味わいは今も静かに降り注いでいる欲しいなら耳を澄ませ。そんな気のする昨日は涼しい夜でした。
Nobuさんより