司 修『夢景色』

12月21日(火)は大阪シネ・ヌーヴォでの上映初日となりますが、この日は本映画原作者小川国夫の誕生日に当たります。そこで『小川国夫生誕祭』として、特別ゲストに作家・画家・装幀家の司修氏を迎え、映画上映後、対談を行います。
司修さんという名前は記憶しておらずとも、彼が装幀を手掛けた本を持っておられる方は多いと思います。小川国夫は勿論のもと、大江健三郎、安倍公房、中上健次といった文学者が司さんの絵に魅せられました。
司修さんは、映画の看板絵描きから、そのキャリアを始めました。独学で独自の技法を体得し、装幀だけに留まらない様々な分野で活躍されています。その旺盛で自由な活動ぶりから“風来坊”と称されることも多いようです。
司修さんのような方を、職業的な肩書で定義するってこと自体、間違っているかもしれません。まずなによりも旅人である、それが司修さんのより正確な肩書ではないかと思えるのです。
今日は、司修さんの旅行記『夢景色』(東京書籍)を紹介します。「幻想旅行記」とあるように、たんなる旅日記ではありません。実際に旅先で書き留めたスケッチと、司さん独特の幻想風景が入り混じった美しい書物です。
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司さんの幻想は、どこかで少年時代の思い出と結びついています。いまと地続きにある過去を呼び覚ますという行為が幻想というかたちでなされていると言えるかもしれません。だからこそ時に暗く、ぞっとする筆致にもどこか懐かしさを感じたりもします。
司さんの少年時代と映画館は切っても切り離されない関係にあります。そんな司修さんが小川国夫について、映画『デルタ』についてどんな話をしてくれるのか、今から楽しみでなりません。
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※本日紹介させてもらった『夢景色』はシネ・ヌーヴォでも閲覧して頂けます。
ぜひ手に取ってご覧ください。
※『小川国夫生誕祭』は、メールでの予約も承っております。詳しくは下記を参照下さい!
http://www.cinenouveau.com/
井川 拓